忘れるということ

 昔から「年忘れ」「忘年会」などの、「忘れ」るという意味というか、「忘れ」る必要性について、今一つ理解できなかった。

 でも、今年、この時期になって初めてわかった気がする。

 

 懸命に生きてきたこの一年。

 失敗もたくさんあった。

 後悔することもたくさんあった。

 できることならやり直したいけれど、それもかなわないこと。

 

 それらを来年に引きずらず、新たな気持ちになって歩き出そう。

 半分、強制的にでも。

 

 年末に、大掃除をするのも同じ意味ではないか。

 家を綺麗にし、部屋を綺麗にし、今年一年の失敗、思い残したこと、

 もろもろの残骸を綺麗に拭い去らって新しい年を迎える。

 

 正直、今まで、忘年会、大掃除、年忘れ〇〇大会。

 どれも、内心少し馬鹿にしていた。

 

 そんなものに何の意味があるんだって。

 

 でも、この歳になって、ようやく解った。

 

 世の中には、どうにもならないこともある。

 失敗することもある。

 いや、むしろ、うまくいかないことばかりだ。

 

 そんな気持ちにケジメをつけ、新たな年を迎える。

 とても大事なことだと思うようになった。